サルサで幸せに満ちあふれた元気な笑顔をつくりたい
2018年9月取材
私は20年以上前にLos Salserosというダンス教室を主宰して、その後サルサレッスンを中心としたStudio Fiesta Latinaを長年経営していました。
ダンスが好きでバレエやジャズダンスをやっていましたが、リズミカルなサルサの音楽に合わせペアで作り出す自由な雰囲気のサルサダンスに魅了され、多くの人にその魅力を伝えたいという思いでサルサを教え始めました。
ダンスをうまく踊れるように導くのがダンスインストラクターの役割ではありますが、サルサを教えていくなかで、私自身の心の動きや人とのコミュニケーションについて関心を持ち、そのような学びも続けていました。サルサが上達すること以外にもできること、社会に役立つことがあるのではないかと思うようになりました。その後、サルサのダンスインストラクターとしての活動とともに2015年に筑波大学大学院でヒューマンケア科学博士号を取得して、現在は筑波大学附属病院の認知力アップデイケアでダンスセラピーの講座、セミナーやカウンセリングを行っています。
ダンスは身体を動かすことに加えて表現力が求められます。ダンスをしているときは、コミュニケーションをするときと同じ脳の部位が活性化しているという報告があります。特にペアダンスの場合、相手とのコミュニケーションを大切しながら踊りますので尚更です。人と触れ合うと信頼関係を築くときに必要な「オキシトシン」が活性化されると言われています。ペアで踊るダンスは人と繋がることによって得られる大きなプラス効果があるのではないでしょうか。
近年ではダンス効果の報告が少しずつではありますが増えてきました。著名な「ネイチャー」誌でもダンスは身体活動・社会交流・知的活動を備えているため、認知症予防に最適であると述べられています。
誰もがダンスは踊れますし、誰もが楽しめると思います。私たち人間は、言葉を話す前からダンスを通じてコミュニケーションを行っていた歴史があり、私たちのDNAには踊るという記憶が刻まれているのです。
Los Salseros時代は、発表会や合宿をよく行っていました。振付の一部のパートを生徒さん自身に考えてもらうこともありましたが、皆さんの自由な発想力にとても驚かされ刺激を受けました。筑波大学付属病院で行っているプログラムでも年末に発表会を予定しています。今回のプログラムに参加されている方々の発想力にとても期待をしています。愛を表現している「デスパシート」というヒット曲に合わせて皆さんがどのような表現を見せてくれるかとても楽しみです。
サルサに長年携わっていた人間として、明るくポジティブなイメージがあるサルサダンスが、様々なシーンで、幅広い世代の方々に世代に合った楽しみ方で、幸せに満ちあふれた元気な笑顔をつくるお手伝いができるよう今後も追及していきたいと思っています。
■□■
Profile
石川 裕子 いしかわ ゆうこ
ヒューマンケア科学博士。ダンスセラピスト。臨床心理士。ダンスムーブメント指導員。サルサインストラクター。ヨーガ・ピラティスインストラクター。NLPトレーナー。NLPコーチ。ヒプノセラピスト。1995年よりサルサレッスンをスタートさせ、日本で最も長くサルサを教え続ける。より広い視野からサルサを捉え、ヨガ・ ピラティス・心理学などを本格的に学ぶ。現在も身体と心に関わるヘルスプログラムを研究している。