2017年9月取材

結成39年目を迎えたサルサバンド「オルケスタ・デル・ソル」。今回で3年連続「JAPAN SALSA CONGRESS」のライブを行う。その「デルソル」を立ち上げ、日本パーカッション界の草分け的存在のペッカー氏に、『リズムのチカラ』を中心にお話をお聞きしました。 

Interview by Kentaro(サルサ ホットライン ジャパン)

 

オルケスタ・デル・ソルのペッカー氏

 

リズムで、サルサで、幸せホルモン・セロトニンが活性化!

 

——ペッカーさん、ナンジャタウンさんのパレードの音楽プロデュースをありがとうございます。まずはお礼をと思っていました。読者の方にご説明すると、ラテンダンスプロモーション(インパクトプロモーションズ、日本サルサ協会、サルサホットラインジャパンによるラテンダンスのイベント企画運営活動)で、2017年8月より、ナンジャタウン(運営:(株)ナムコ)で実施の「熱狂! ピニャータパレード」の企画協力をさせていただいています。パレードの楽曲作りと演奏指導をペッカーさんにご依頼しました。

 

ナンジャタウンさんのお話をKentaroさんから相談されたときに、イべントの送り手からの一方通行じゃなく、送り手と受け手の一体感がほしいよね。ってお互い考えていたので、ラテンでパレードをする企画はぴったりだったよね。お客さんも一緒にパレードに参加して踊ったり楽器を鳴らしたり、手拍子をして笑顔をもらえる。

 

——お客様にもスタッフの方にも楽しんでいただけているようで、僕も「リズムのチカラ」というものを再認識することができました。

 

そう、パレードって歩くじゃないですか。ただ歩くのではなくリズムに乗って右足、左足と歩けばリズム運動になって、みんなでリズムをつくると一体感が生まれて楽しくて疲れない。古くは、アレキサンダー大王の東方遠征のときに、馬の背中に太鼓を括り付けてリンドンリンドンと音に合わせてみんなで歩くことで疲れを軽減させたといわれているんだ。

 

——リズムを使うことで、相当な歩行距離の行進を乗り越えられたのですね

 

みんなでリズムをとると一体感が生まれて、自分はこの一員だというアイデンティティが生まれるし、身体が疲れないからスタミナを持ったままで進める。舟を漕ぐのも同じで、舟歌の「え〜んやこら」の「え〜ん」でみんな力を入れて身体がリズムをとっているから疲れない。人間は昔から労働にリズムを使ってリスクマネジメントをしていたんだ。それがゴスペルになったり、ラテンになったり、キューバンサルサが生まれることになったというわけ。

 

——歩くテンポにスピードをつけて動きにニュアンスをつけると、ダンスになってリズムになりますね。

 

リズムは、人間がもって生まれた根源的なもの。ポップス、ハウス、サルサ、フラメンコなど踊るときに身体の中でなにが起こっているかというと、セロトニンが活性化してる。

 

——セロトニンは、心のバランスを整える作用がある脳内伝達物質で、幸せホルモンとよばれていますよね。

 

セロトニンの活性化にリズム運動はとても有効で、最も効果があるのは、フラダンス。10人20人で、ひとつのイメージで手を使って語っているでしょう。人間には集団の中にいたいという「集団欲」という本能がある。ここにいていいんだ。ここで生きていていいんだ。と思った瞬間に、アドレナリン、ドーパミン、セロトニンがぜんぶ出てくる。

 

——サルサも気持ちいから踊るのですが、幸せホルモンを活性化していたのですね。たしかに長い時間踊っても疲れませんね(笑)。

 

打楽器をみんなでたたくと、一体感、喜び、様々な学びも生まれる

 

——セロトニンの話もそうですが、ペッカーさんはリズムの効能的な「ドラムサークルファシリテーター」活動でもご活躍されていらっしゃるそうですね。詳しく教えていただけますか。

 

まず「ドラムサークル」は、みんなで丸く輪になって打楽器をたたく即興的なアンサンブルで、参加者が一体感を感じながら楽しい時間を共有するの。2000年に始めて今では年間にのべ10万人ぐらいの人が「ドラムサークル」に参加しているよ。

 

——10万人! すごい人数ですね。「ドラムサークル」はいわば、人と人をつなぐひとつのツールということですね。サークル=輪になるとみんなの顔をみながらたたけますね。

 

打楽器は、年齢を問わず音楽経験も必要とせず、誰でもすぐに演奏できる親しみやすい楽器だよね。みんなで叩いてリズムを共有することで喜びが生まれるし、癒し・メンタルヘルスケアになるんだ。自分の役割も認識できる。それをガイドするのが「ファシリテーター」の役割で、緊張やプレッシャーから解放されて気持ちよく楽しくなるように参加者をガイドして、それぞれの個性の発揮と全体の調和を生み出せるように手助けをします。

 

——楽しく打楽器をたたきながら学びもあるのですね。

 

そのノウハウを活かして僕は企業研修もやっています。打楽器をみんなで叩くことによって、チームビルディングや組織の強化、新人研修など、それぞれの企業ニーズに合ったプログラムを作って、過去100社以上研修をさせてもらいました。まさか僕が企業研修をやることになるとは思っていなかったけど、打楽器はそんなチカラを持っているんだよ。

 

——サルサ&ラテンを踊ることで、実生活に役立つことやダンスやリズムを使って、社会的活動の場をもっともっと増やしていくことを僕らも考えているところです。それがサルサの普及や社会貢献にもつながっていきますし。

 

ボンゴでリズムを奏でるペッカー氏と健太郎

 

ナマのライブならではの楽器の波動を感じて。観て聴いて、自由に踊って!

 

——ペッカーさんはサルサバンドの音楽家、演奏家として、サルサダンスをどのようにとらえていますか?

 

この10年で大きく変わったよね。その前30年は僕らがライブをやっても目の前で踊る人は見かけなかった。サルサバンドとしては、目の前で踊っていてほしいよね。踊っている人たちを見ながら演奏すると、僕らも楽しくて。以前はサルサダンスとの接点がなかったので、「JAPAN SALSA CONGRESS」は僕らも毎回楽しみにしているんだ。

 

——そうおっしゃっていただけて感激です! 「オルケスタ・デル・ソル」は12人編成で楽器の種類も多いですが、リズムの楽しみ方をアドバイスいただけますか。

 

ヴォーカル、コーラス、ピアノ、ベース、ブラスセクション、その他はパーカッションです。標準の形式だと、コンガ、ボンゴ、ティンバレスの構成で、音域はコンガが中域。ボンゴ・ティンバレスは高音。役割として人格を持たせるとすると、コンガはものわかりのいい隣のお姉さんで、ティンバレスはイケイケギャル。ボンゴは派手なお姉さん。

 

——みなさん女性なのですね?(笑)

 

女性ですね(笑)。この3人が曲の中で会話をしていて、その会話の部屋をピアノがつくっています。基礎の土台をベースがつくっています。外壁はブラスセクションですね。そして、この家が建っている土地がクラーベです。

 

——クラーベは土地なのですね。クラーベランド!

 

クラーベがないとぜんぶ存在しないですね。そしてメンバー全員で演奏を支え合うのがラテン音楽であり、「オルケスタ・デル・ソル」です。

 

——なるほど。今回のライブは、そういう観点で音とリズムを感じてみます。最後に「JAPAN SALSA CONGRESS 2017」ライブへの抱負をお願いします。

 

サルサ&ラテンの生演奏ならではの楽器の波動を感じて、観て聴いて、ダンススタイルを気にすることなく自由に踊って満喫してほしいですね。僕らも観客の皆さんを見ながら楽しんで演奏します。10月29日は大いに盛り上がりましょう!

 

——ありがとうございました。当日を楽しみにしています。

 

■□■

Profile

橋田 ”ペッカー” 正人 はしだ ”ぺっかー” まさひと

1977年に渡米し、ブラック&ラテン系ミュージシャンとのセッションを重ね、帰国後に日本発のサルサバンド「オルケスタ・デル・ソル」を結成。音楽家、プロデューサー、ドラムサークルファシリテーター協会理事長として活躍中。

Official Site 

www.tokyo-mania.net/pecker2

 

オルケスタ・デル・ソル(JAPAN SALSA CONGRESS 2016より)

 JAPAN SALSA CONGRESS 2016のデルソルLIVE

 

ドラムサークル

ペッカー氏がファシリテーターを務めるドラムサークル

 

 

クラベス(ヤマハ)

ラベスで奏されるラテン音楽特有のリズムパターンが「クラーベ」です

コンガ(REMO)

ボンゴ( REMO)

ティンバレス (REMO)

 

写真提供:株式会社ヤマハミュージックジャパン